借金まみれの配偶者と離婚するには

コラム
こんにちは。大阪府豊中市の離婚が得意な弁護士の武澤です。   最近は、豊中市だけでなく、近隣の池田市、吹田市、箕面市からも、たくさんのご相談やご依頼をいただいております。       タイトルの件、解説します。   配偶者がいつの間にか、消費者金融でお金を借りていた。   そしてそのお金は風俗、不倫、ギャンブルに使っていた。   ドラマのような展開が、現実の夫婦生活で起こり得ます。   そして、配偶者が借金まみれになってしまい、もう離婚したい!と思うようになる方は多々いらっしゃると思います。   一方で、離婚したからといって、私にも夫(妻)の借金返済義務は発生しないのだろうか、もし、返済義務が発生するなら、借金問題が片付くまでは離婚しない方が得策だろうかとお考えの方もいらっしゃると思います。   そこで、今回は、夫(妻)の借金を理由に離婚についてお伝えします。  
  • そもそも、夫(妻)の借金を理由に離婚できるのか
  夫(妻)が繰り返す借金により、生活が行き詰まることは容易に想定できます。   ですが、夫(妻)の借金を理由に離婚できるかは、離婚の話の進め方により異なります。   離婚協議や調停で進めた結果、離婚に至った場合は、離婚は成立します。   なぜなら、夫婦双方に離婚することに合意できたからです。   この場合ですと、借金問題は、離婚理由のひとつであり、どのような事情が夫婦間であったとしても、最終的に夫婦お互いが離婚することに納得ずくであれば、離婚が成立します。   なお、離婚協議や離婚調停で話し合いが決裂してしまい、裁判までもつれ込んだ場合はどうなるでしょうか。   こちらについては、このブログでもおなじみの4つの法定離婚事由に借金問題が該当するかということになります。   ・不貞 ・悪意の遺棄 ・3年以上の生死不明 ・その他婚姻関係を継続し難い重大な事由 ※令和8年4月1日の民法改正により、「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき」が削除されました。   借金問題が原因になりそうな法定離婚事由としては、「不貞」、「悪意の遺棄」、「その他婚姻関係を継続し難い重大な事由」の3つが該当してきますので、これらを深堀りしていきます。   ・不貞で離婚できるケース 上記でも触れましたが、浮気や不倫相手のために借金をしている場合ですと、当然に離婚が認められます。   それを証明するために、浮気相手と肉体関係を持っていることを証明する書類を集めることが肝要です。   ・悪意の遺棄で離婚できるケース こちらも上記で触れましたが、ギャンブルにはまって、借金を繰り返し、配偶者を見捨てて家に帰ってこない場合ですと、離婚が成立する可能性があります。   また、特に夫が働ける状態なのに、「お金がない」と言って妻に生活費を渡さない状況で借金を重ねている場合も、悪意の遺棄との判断が出て、離婚成立の可能性があります。   夫婦が既に別居状態でしたら、別居以降で夫から生活費(婚姻費用)が支払われていない場合は、悪意の遺棄での離婚が成立しえます。   ・婚姻関係を継続し難い重大な事由で離婚できるケース 「その他婚姻関係を継続し難い重大な事由」とは、「不貞」、「悪意の遺棄」、「3年以上の生死不明」には該当しないが、これらの理由に相当する重大な離婚理由があることです。   よって、単に借金を重ねているという理由だけでは離婚は難しいです。   例えば、夫が消費者金融で既に数百万円借りていても、きちんと働き、生活費も入れて、夫婦間の相互扶助が成立している状態でしたら、裁判しても離婚は認められない可能性があります。   一方で、夫(妻)の借金がきっかけで夫婦喧嘩が絶えなくなり、その結果、別居となり、その期間が長期間継続していると、実質的に夫婦間の結婚生活の実態がなくなっているとの判断が出て、これを法定離婚事由とした離婚が成立する可能性はあります。   また、夫婦喧嘩がきっかけで、暴力を振るわれるなどのDVやモラハラにまで発展した場合は、これを法定離婚事由とした離婚が成立する可能性があります。   よって、もし、離婚することを決心しているのであれば、借金があるだけでは離婚できないんだと諦めるのではなく、何かしら離婚できる出来事や被害を見つけ出し、メモや手帳等に記録して証拠として活用できるように準備することが肝要です。  
  • 離婚が成立したとして、夫(妻)の借金も財産分与の対象となる?
  借金問題で離婚が成立する可能性があることは先述のとおりですが、離婚後も夫(妻)の借金問題を引き継ぐ必要があるのかが気になると思います。 その点を財産分与の観点からお知らせします。   まずは、財産分与については、あくまでプラスの財産のみが対象です。 財産分与は、結婚以降で夫婦で築き上げた共有財産を、離婚時に夫婦お互いが通常2分の1ずつ分け合うことを指します。   マイナスの財産である夫(妻)の借金が夫婦共同生活維持のための借金であれば、他のプラスの財産と通算して分与額が決められることはありますが、借金そのものの引継ぎは原則行われません。   なぜなら、お金を貸した者からすれば、借金の契約をしていない、かつ返済能力のない専業主夫(妻)に債権が渡ってしまったことで、回収不能に陥る可能性があるからです。   また、上記の通り、そもそも専業主夫(妻)の方は、借金の契約をしていないため、債権者が債権回収する根拠がありません。   よって、マイナス財産である借金は引き継がないことになりますので、離婚後も債権者から支払い督促等は来ないのでご安心ください。   もし、夫(妻)より借金返済を共同で行う等求めてきたら、原則は即座に断りましょう。   しかし、借金の契約パターンによっては、借金していない側にも負担が及ぶ可能性はあります。   それは、下記パターンが考えられます。   ・妻が夫の借金の連帯保証人になっている場合 ・婚姻生活を送るうえで必要となった借金   1番目でよくある借金の契約としては、住宅ローンにおける連帯保証です。   銀行と住宅ローンを締結するときに、通常は連帯保証人を立てることになりますが、主債務者である夫が離婚を機に、住宅ローンの支払いを滞ったとなった場合、銀行は連帯保証人である妻に住宅ローンの支払いを求めてきます。   この場合は、まずは妻が住宅ローンの支払いを行い、夫に返還請求を起こすことになります。 離婚時には、連帯保証債務からの脱退等の手続きをすることも検討が必要です。   2番目でよくある借金としては、日常家事債務と呼ばれるものです。   日常家事債務とは、日常生活を送為に必要な家賃、光熱費、食費、子どもの教育費等の夫婦生活を維持するために必要な支払い義務のある債務です。   そして、日常家事債務は民法第761条の規定により、法律上当然に連帯債務が発生するとされています。   よって、日常家事債務にもとづく連帯責任は、夫婦が離婚した後も残るため、例えば、子供の教育費の支払いで、数十万円の借金をやむなく金融機関にした場合、離婚後、妻に返済の督促が来ないとも限らない状況になります。   以上のように、夫が借金したとき、借金の種類や原因によっては離婚後も妻に引き継がれてしまう可能性があります。   ですから、特に、住宅ローンや教育ローン等の借入については、離婚手続きを進める前に金銭消費貸借契約書のチェックが必要です。  
  • 子供がいると、借金を引き継いでしまう!?
  離婚時にお子さんがいる場合は、ほとんどのケースで妻が子供を引き取って育てることになります。   離婚したら、夫婦関係は終わりますが、親子関係は永遠に消えません。   よって、元夫が借金を抱えたままで死亡したときは、引き取った子どもが元夫の相続人となり、元夫が払い残した借金を支払う義務を負うことになります。   なお、元夫が遺した借金については、相続放棄の手続きをとることで支払いをしなくて済むことになりますが、相続放棄は、相続人であることをお子さん本人が知った日より3か月以内に手続きしなければならないので、元夫が死亡したことを知ったときに、借金を遺していないかを確認する必要があります。  
  • 元夫の借金が原因で離婚した場合の養育費の問題
  元夫が借金している場合、子どもの養育費をきちんと支払ってもらえるかという問題が出てきます。   もちろん、元夫は養育費を支払う義務が発生しますので、借金を理由に養育費の支払い拒否はできません。   なぜなら、養育費支払いは、生活保持義務を果たすための義務です。   よって、養育費支払義務者である元夫は、自分のお子さんに対し、「元夫自身と同水準の生活」を送らせる必要があります。   ですから、支払いをしていない状況でしたら、養育費の請求を行うことができます。   また、元夫が借金を支払いきれないことで、自己破産をしたとしましょう。   自己破産をすると、負債の免責が発生しますが、養育費は、破産法上「非免責債権」に該当し、支払い義務は消えません。   非免責債権に該当するものとしては、他にも夫婦の婚姻費用、税金、健康保険料などがあります。   ですから、自己破産した元夫に対して、養育費の滞納がある場合は、滞納している養育費全額請求することができますし、自己破産の手続き中にも養育費支払請求が可能です。   また、元夫への養育費支払義務が公正証書等で明示されている場合において、元夫が支払い義務を果たさない時は、元夫の給料や預貯金を差し押さえることで、養育費回収することができるようになっています。   ただし、元夫が借金の支払いで厳しくなり、自己破産を選択し、養育費の支払能力が無くなった時に、元夫から養育費減額調停を起こされる可能性があることを念頭において下さい。   養育費減額調停が申し立てられると、家庭裁判所で養育費額を再設定することになります。   よくあるケースでは、元夫が離婚後に失業したり、大病を患って長期入院している等、養育費支払い能力が激減したり、皆無となったときは、養育費の減額が認められる可能性が高いです。   また、夫が自己破産をして、生活保護を受けるようになった場合も、養育費の支払いが停止されるため注意が必要です。  
  • まとめ
  万一離婚をしても、元配偶者の借金返済がご自身に及ぶことは原則ありませんが、例えば住宅ローンや教育ローンの支払い契約でご自身が連帯保証人になっている場合や、夫が借金で日常家事債務を支払いしていた時は、ご自身にも返済義務が発生する可能性があります。   離婚してから思わぬ不利益を被らないよう、離婚の話し合いの際に、借金の返済方法や誰が借金の返済を行うのか等を取り決めておくことが肝要です。   そして、このブログを読んで、「武澤先生に相談したい!」と思ったら、ご遠慮なくご連絡ください。   私は、毎日、何らかの形で離婚に関する事柄を取り扱っております。   もし、離婚のことでお困りのことがありましたら、まずは下記よりお電話、メールを下さい。   心配事を少しでも軽くできるように、お話をお伺いします。   ※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。   ※この記事は、読んでいただいている皆様にとって分かりやすい言葉を使って、記載しております。   ※本記事を利用して、ご自身で対処する場合は、自己責任で行ってください。