離婚後のお悩みについて

離婚後のお悩みについて

1. 子の氏変更手続き

父母が離婚しても、子どもの氏は当然には変更されません。離婚によって子どもの親権者が旧姓に戻っても、子どもの氏が変わるわけではないのです。そのため、母親が親権者であり旧姓に戻った場合には、親権者である母親と子どもの氏が異なることになります。

家庭裁判所による子どもの氏の変更許可のみでは氏の変更の効力は生じず、子どもが親の戸籍に入籍する旨の届け出をすることが必要です。これにより、子どもの氏を変更することができます。

2. 面会交流に関するトラブル

離婚時に面会交流の取り決めをしていなかった場合には、離婚後に面会交流の取り決めをすることができます。面会交流は、子どもが20歳になるまで認められますので、それまでの間であれば、取り決めだけではなく、変更をすることも可能です。

面会交流についてよく問題になるのが、子どもが拒絶しているというケースです。ただ、子どもは同居する親の顔色を常に見ていますので、面会をしたいと言うと、同居している親が傷つくことを知っています。そこで、親に遠慮して「会いたくない」というのです。こうした場合、実際にもう一方の親と会うと大喜びをすることがあります。

家庭裁判所もこのことをよく知っているので、子どもが「会いたくない」と言っていても、鵜呑みにすることはありません。調査をした上で、子どもと相手の面会が相当ではないと判断されたときのみ、面会交流が認められないことになります。それ以外のケースでは、基本的に面会交流を実施する方向で進めます。

面会交流の話し合いをするとき、よく問題になるのが養育費との関連です。たとえば、「面会させてくれないなら養育費を払わない」ということも多いですし、「養育費をもらっていないから面会交流を認めない」と主張することもあります。
しかし、このように面会交流と養育費を引き換えにすることは、認められません。

相手が面会交流をさせてくれない場合には、強制執行(間接強制)が認められます。ただし、面会交流の強制執行は、金銭のように単純にお金を取り立てればよい、というものではありません。
強制執行だけに頼らず、粘り強く交渉を続けるなどの方法も併用しながら上手に話を進める必要があります。
大阪府豊中市にあるボーリバージュ法律事務所では、事案に応じた適切な手続きを利用して、面会交流がスムーズに実現されるようにサポートいたします。

3. 養育費の減額・増額

養育費の支払いは、場合によっては長期間に及びます。その間に、お互いの経済的事情が大きく変わることもあります。離婚の際に合意した養育費の額を変更することは容易には認められませんが、経済的事情が大きく変化した場合には、養育費の増額や減額が認められます。

●増額が認められる可能性がある例
・子どもの進学などに伴う教育費の増加
・子どもの病気や怪我などによる予想外の医療費の増加
・監護者が病気や怪我、または勤務先が倒産するなどして収入が低下
・物価の大幅な変動、貨幣価値の変動
●減額が認められる可能性がある例
・支払う側の病気や怪我、または勤務先が倒産するなどで収入が低下
・受け取る側の経済状況の変化(就職などによる収入の大幅な増加)
・支払う側、受け取る側の家庭環境の変動(再婚や養子縁組など)

養育費の変更は、まずは相手との話し合いから始まります。話し合いをしようとしても、相手が話し合いにすら応じない、またはこちらの言い分をロクに聞かず拒否するようであれば、内容証明を送ることも検討します。
話し合いや内容証明で養育費の増額・減額を請求しても相手が応じなかった場合は、養育費増額・減額請求の調停の申し立てを行い、家庭裁判所で養育費について話し合うことになります。

4. 親権者の変更

一度決めた親権者は、そう簡単に変更することはできませんが、変更できないわけでもありません。子どもの利益のために必要な場合、家庭裁判所は、子どもの親族(親権者ではない方の親や祖父母など)からの請求により、親権者をもう一方の親に変更することができます。
たとえば、子どもが親権者から虐待などを受けている場合や、親権者が死亡したり行方不明となった場合です。

調停では、申立人が親権者を自分に変更することを望む事情や、現在の親権者の意向、今までの養育状況、親権者についての合意と事情の変更、父母それぞれの経済力や家庭環境などが考慮されます。
また、子どもの年齢や性別、性格、就学しているかどうかといったことも考慮されます。
子どもが15歳以上の場合、裁判所は子ども本人の意向を必ず聞くことになっています。15歳未満でも、その意向が考慮される場合があります。
こうしたやりとりを通して、事情や状況を把握し、子どもの利益を考えた取り決めができるように、話し合いが進められます。

話し合いがまとまらず、調停が不成立になった場合には、自動的に審判手続が始まります。親権者が行方不明などで調停に出席できないときは、調停を行わず、親権者変更の審判を申し立てることができます。調停や審判の結果、新たに親権者となった人は、調停成立・審判確定の日から10日以内に市区町村役場へ親権者変更の届けを出します。