離婚後にやらなければならない役所等手続きリスト

コラム
  こんにちは。大阪府豊中市の離婚が得意な弁護士の武澤です。   タイトルの件で解説します。   離婚が成立したら、新たな人生のスタートです。   いろいろこれからの人生を見つめなおし、新たな一歩を踏み出すことで、心も体も清々しいものになろうかと思います。   これからの人生をより良いものにするには、面倒や役所手続きも一気に済ませてしまいましょう。   今回のブログでは、離婚後に対応しなければならない役所手続をお知らせします。   このブログを印刷して、やることリストとして活用していただけたら幸いです。 ※私は、主に女性からの離婚手続き依頼を受けることが多いため、離婚した女性の立場でお伝えします。   ・姓の変更手続き 特に、女性側は必須の手続きかと思います。 この手続きでは、「旧姓に戻すのか否か」「戸籍を新しく作るのか否か」で手続きが異なります。 このブログでは、多くの離婚後の女性が選択する「旧姓に戻す」ことに絞って解説します。
  1. 旧姓に戻して、かつ結婚前の親元の戸籍に戻る場合
離婚をしたら、「復氏」という旧姓に戻すことが原則的です。 そして、離婚をすると、夫の戸籍からは外されることとなりますので、結婚前に記録されていた戸籍に戻るか、新しく戸籍を作るかを選択する必要があります。 結婚前の戸籍(原則は親元の戸籍)に戻ることを希望でしたら、離婚届の「婚姻前の氏に戻る者の本籍」欄の「元の戸籍に戻る」にチェックをいれます。 お子さんをご自身の戸籍に入籍させる予定の場合はこの方法は取れません。  
  1. 旧姓を使用し、新しい戸籍をつくる場合
「復氏」の手続きは、上記のとおりです。 実は、元の戸籍に戻れないパターンがあります。 それは、ご両親がすでに他界されている場合です。 戸籍は、記録されている方が全員死亡や婚姻等で抹消されてしまうと、「除籍」という手続きを役所で行い、誕生時に記録されていた戸籍が使えなくなってしまいます。 上記の場合や、新たな人生をスタートするために心機一転する場合は、新しい戸籍を作ることを選択されると思います。 その際は、離婚届の「婚姻前の氏に戻る者の本籍」欄の「新しい戸籍をつくる」という部分にチェックをいれます。   3.婚姻中の姓を使用する場合 お仕事の都合や、お子様の学校での様子、実は結婚後の夫の姓が気に入っている等で婚姻中の姓を使用したい方が少なからずいらっしゃいます。 その際は、離婚届の「婚姻前の氏に戻る者の本籍」欄は空欄にし、かつ別に「婚氏続称届」という、現在の姓を使いたいという希望届を役所に提出します。 この届出については、離婚届と同時でもOKですし、離婚の日から3か月以内であれば受け付けてくれます。   ・役所関係の手続き 恐らく、これが一番面倒な手続きになるかと思います。 こちらは、私が取り扱った事件で、依頼者さんから相談をよく受けたものを中心に記載しておりますが、記載したもの以外や不明点については、役所のホームページを確認し、電話等で役所に確認するのが肝要です。  
  1. 住民票(引っ越し後14日以内に必ず提出!)
あらゆる役所手続きには、基本的には住民票や戸籍謄本が必要です。 特に住民票は使う機会が多いため、まずはこの変更届を確実に行いましょう。 離婚によって住所が変更になった場合は、住民票の異動手続きが必要です。 例えば、離婚前と離婚後で同じ豊中市に住む場合は、「転居届」を豊中市役所に提出します。 離婚前は吹田市、離婚後は豊中市に引っ越しする場合は、吹田市役所に「転出届」を提出し、豊中市に「転入届」を提出しなければなりません。 なお、届け出期限があり、引っ越し日から14日以内に対応する必要があります。 また、女性は引越しせずに財産分与で夫と一緒に住んでいた自宅を受け取り、夫が転居するパターンもあるかと思います。 その際、住民票の世帯主は夫に定めているご夫婦が多いかと思いますが、それまで世帯主と設定していた夫が転居する場合は、「世帯主変更届」を提出して世帯主の変更手続きをすることが必要になります。 こちらも、変更が生じてから14日以内に行わなければなりません。   2.自動車運転免許証 日本人の大多数が保有していると思います。 運転免許証には、住所、氏名、生年月日、本籍、顔写真の個人情報を登録しています。 離婚をすることで、住所、氏名、本籍が変更することが考えられますので、忘れずに手続きしてください。手続きする役所は新しい住所地を管轄する警察署または運転免許センターです。   3.パスポート こちらも海外旅行を趣味としていたり、夫婦で海外赴任をしていた経験がありましたら、手元にあるかと思います。 パスポートには、氏名、生年月日、本籍、顔写真の個人情報が登録されていますので、本籍、姓に変更がある場合は、新しい住所地を管轄する旅券申請窓口(大阪府はパスポートセンター)にて手続きを行います。本籍地について、都道府県の変更がない場合に、手続きが必要かどうかは申請窓口にお問い合わせをお願い致します。   4.マイナンバーカード コロナ禍以降で、爆発的に普及したものです。お持ちの方も多いと思います。 こちらには、住所、氏名、生年月日、顔写真の個人情報が載っており、姓、住所に変更が生じた場合に必要です。 手続きを行う先は、新しい住所地の市区町村役場です。   5.国民年金(離婚後14日以内に必ず手続き!) もし、あなたが専業主婦でしたら、離婚によって、夫が加入していた厚生年金の第3号被保険者の資格を失うことになりますので、国民年金に加入する必要があります。 なぜなら、年金に加入することは、国民の義務です。 ご自身も老後に年金をもらえますので、忘れずに手続きをしましょう。 こちらは新しい住所地の市区町村役場で手続きを行います。   6.国民健康保険(離婚後14日以内に必ず手続き!) 上述の国民年金と似ているところがありますが、あなたが専業主婦ですと、離婚によって、夫が加入していた健康保険の被扶養者の資格を失うことになりますので、国民健康保険に加入する必要があります。そのためには、まずは健康保険の被扶養者の資格喪失証明書を受け取りましょう。   ・各種名義変更手続 役所手続きがひと段落すると、生活で必要な銀行口座や保険等の名義変更が必要になります。離婚によって住所や姓の変更が生じることがほとんどですので、忘れずに済ませましょう。   ・預貯金銀行口座→届出印の変更も忘れずに! ・クレジットカード→夫の家族カードは、忘れずに返しましょう。 ・不動産→所有権移転登記や持ち分移転登記等が必要です。司法書士が担当します。 ・自動車→所有権移転登録や所有者名義人変更登録が必要です。行政書士が担当します。 ・水道光熱費の支払→夫名義での契約になっている場合は、契約名義変更等が必要です   ・子どもがいる場合の手続き 子どもがいて、あなたが育てる場合には、さらに子どもに関する手続きが加わります。  
  1. 子どもの姓の変更手続き
実は、離婚して、親権者兼監護者としてあなたが指定され、今後生活を共にし、育てることになったとしても、子どもの姓に関しては、同時に変更するわけでなく、家庭裁判所に「子の氏の変更許可申立て」という手続きをしなければなりません。 なお、氏の変更許可申し立ての理由が離婚の場合だと、通常は許可されます。 許可が出たのちに、住所地の市区町村役場に入籍届を提出することで、子どもの姓が戸籍上も変更されます。  
  1. 学校関係の手続き
離婚が原因で引越しすることはよくあることです。その際に、子どもを連れて引っ越しする場合は、子どもが通う学校の転園・転校手続きが必要です。   3.公的支援制度に関する手続き 子どもがいることで、様々な公的支援制度を利用していると思います。 離婚をし、姓や住所が変わることで、これらの変更手続きが発生します。 主だったものを記載しますので、ご自身のお子さんが受け取っているものについては、漏らすことなく手続きを行ってください。   ・児童手当 ・児童扶養手当 ・ひとり親家庭等医療費助成制度 など   4.年金分割手続 離婚後2年以内に年金事務所で行います。   ・離婚後の手続きで気をつけること 上記で挙げた手続きは、離婚後に行うことですので、基本的にはご自身で対応することになりますが、いくつかの手続きについては、元夫の協力なしには進められないものがあります。 例えば、元夫の被扶養者として健康保険に加入していた時は、元夫の職場から「健康保険資格喪失証明書」の交付を受けなければなりません。 しかし、元夫が非協力的であったり、暴力を振るうなどの理由でお願いできないこともあるかと思います。 その際は、必ず役所の窓口に相談してください。もしかしたら、元夫の協力なしで進められる可能性もあります。 また、養育費、慰謝料、財産分与、年金分割といった離婚に関する条件については、離婚後であっても決められます。 だから、先に離婚して、ゆっくりと条件交渉に入ることは不可能ではありません。 ただし、各項目の請求権については、期限がありますので、その点は注意してくださ   ・財産分与           離婚から2年以内 ・年金分割           離婚から2年以内   ただし、やはり離婚後だと、元夫の感情としては、「離婚できたのだから、もうこれ以上は話すことはない」と突っぱねられ、条件交渉が難しくなることもあり得ます。 ですので、できるだけ離婚するときにしっかりと条件交渉をし、納得のいく離婚後の生活を送れるようにしましょう。 なお、離婚後に相手が対応してくれない、相手と会って話をしたくないという場合には、私を含めた離婚専門弁護士が代理人として交渉可能です。   ・まとめ 離婚の手続き自体は、離婚協議書作成とか裁判の決定書で完結しますが、離婚後に行わなければならない役所手続きがたくさんあるうえに、都度書類作成をするため、非常に面倒です。 そこで、このブログを印刷したら、様々なホームページをチェックして、リストを作って、ひとつずつ確実に完了させることが肝要です。   私は、毎日、何らかの形で離婚に関する事柄を取り扱っております。   もし、離婚のことでお困りのことがありましたら、まずは下記よりお電話、メールを下さい。   心配事を少しでも軽くできるように、お話をお伺いします。   ※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。   ※この記事は、読んでいただいている皆様にとって分かりやすい言葉を使って、記載しております。   ※本記事を利用して、ご自身で対処する場合は、自己責任で行ってください。