こんにちは。大阪府豊中市の離婚が得意な弁護士の武澤です。
タイトルの件で解説します。
私が日々対応している離婚に関する相談や交渉において、夫の不倫発覚がきっかけになって離婚を決意している案件は少なくありません。
そして、初回相談に来られた時は、裏切られたことに対する怒りや悲しみが溢れ出している状態なので、感情的になっている方が多くいらっしゃいます。
このような時、なかなか冷静な判断をすることができず、行動するのは難しいと思いますが、離婚を決めたら、交渉を優位に進めていくためにも、まずはひと呼吸おいて弁護士に相談した上で離婚や慰謝料請求に向けた証拠収集等に向けた動きを取っていくことが、大変重要になります。
そこで、今回は、ご主人が不倫していることを知ったときの対応や、慰謝料請求時のポイントなどを解説していきますので、ご参考ください。
5つの法定離婚事由、このブログではおなじみの項目ですね。
これらに不倫が該当するのかということです。
それでは、その5つの法定離婚事由を書き出しますね。
(5つの法定離婚事由)
・不貞行為
・悪意の遺棄
・配偶者の生死が3年以上不明
・配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがない
・その他婚姻を継続し難い重大な事由
上記より、不倫というと、「不貞」という単語と似通っていますね。
不倫は、不貞行為に該当するのでは?と想定して、不貞行為の意味を考察します。
不貞とは、法律用語で、既婚者が配偶者以外の異性と肉体関係を持つことを指します。
よって、肉体関係を伴った不倫は、不貞行為に該当すると判断することができます。
一方、夫が他の女性と、あくまで食事やデートに行くまででとどまっているのであれば、不貞行為とは判断されません。
この法定離婚事由は、裁判までもつれ込んだ際に法律的に問題なく離婚が可能になる事項なので、万一、夫が不倫していることを認めず、離婚を拒否していても、他の女性と肉体関係を持っていることを証拠として提出し、裁判所が不貞行為だと認めれば、離婚することが可能になります。
夫の不倫が発覚して、感情的になる気持ちはとても分かります。
私も当事者になったら、多分、冷静ではいられないと思います。
しかし、冷静に対処しないと、後々不利になることもゼロではありませんので、下記項目をご確認いただき、このような行動はとらないようにしましょう。
・夫を問い詰める
夫の不倫が発覚すると、怒り、悲しみ、裏切られた思い等様々な感情が交錯して、怒髪天を衝く勢いで問い詰めてしまうこともあると思います。
しかし、夫を問い詰めた結果、不倫の否定はもちろんのこと、LINEやカーナビの過去経路等様々な証拠となるべき情報を消されてしまったり、スマホなどを肌身離さず持つなど、がっちりガードされてしまうことが容易に予測できます。
このことが、本当に離婚へと進めるとなった場合に、証拠収集を困難にし立証の障壁になってしまいます。
なかなか難しいかもしれませんが、まずは頭を冷やして、冷静になりましょう。
・暴力を振るう、違法な行動
例えば、殴る蹴るは当然のこと、夫の職場や取引先、SNSなどで夫の不倫を公表することもやってはダメです。
確かに、これもしたい気持ちは分かりますが、逆に夫から肉体的、精神的、経済的に傷つけられたことに対する損害賠償請求をされたり、暴行罪として刑事事件にされる可能性があります。
このような事態になると、離婚する際に非常に不利になる可能性があるので、このような行動はしないことです。
・さっさと家出をする
これも、感情的なところから出てしまう行動です。
不倫した夫と一緒に住みたくないという理由で家を出ていくと思いますが、家を空けることで夫が証拠隠滅を図ったり、出て行ってしまったことで、家に戻ることや、荷物を取りに帰ることができなくなり、精神面だけでなく、生活面でも苦境に立たされる可能性もあります。
ですので、同居を継続しながら証拠集めをし、ある程度目途がついたら、冷静に別居へと進めていくようにしましょう。
夫の不倫が発覚したときに、妻としてはどういう行動を取ったらいいでしょうか。
私が相談者から伺った、これなら離婚にせよ、関係継続にせよ良い結果を生むだろうなと思った事例を書き出しますので、ご参考ください。
・夫と話し合い、関係性の再構築を試みる
特にお子さんがいらっしゃるご夫婦の場合は、最終的に離婚を選択したとしても、ひとまず関係の再構築を選択肢に入れておくのがベターです。
これは、夫が不倫をしたことに対して、正直に事実を認め深く反省をしていることが認められた場合に有効です。
この際に、次に不倫が発覚した場合のルールや誓約書を作成することも検討しましょう。
ご自身が有利な条件を盛り込んでおくとより良いです。
・離婚せずに、夫や不倫相手に慰謝料請求をする
意外と知られていませんが、たとえ夫婦間で離婚しないことを決めたとしても、離婚まで至った場合に比べると金額は減額になる傾向がありますが、精神的苦痛に対しての慰謝料請求を夫及び不倫相手に行うことは可能です。
そこで、不倫相手に対して慰謝料請求をするには、不倫相手の氏名等個人情報を入手する必要があります。
その際は、夫から情報提供を受ける、もしくは探偵に依頼して不倫相手の住所や職場などを特定します。
夫の不倫に対して、冷静に夫の言い分を聞いた結果、「やっぱり離婚しよう!」と決めた場合は、離婚に向けた準備を行いましょう。
先ほど書いたように、衝動的に家を出てしまうと、不倫の証拠は集められないし、夫から家の出入り禁止を言い渡されて、精神面、生活面で苦境に立たされる可能性があるからです。
具体的な離婚に向けた準備とは、親権、養育費、慰謝料、財産分与などのご自身が希望する離婚条件の検討、離婚後の住まいの確定、就職活動、別居中の生活費の確保=婚姻費用の請求等があります。
前述の通り、夫や不倫相手に慰謝料請求をする際には、下記の点に注意が必要です。
・夫と不倫相手が肉体関係を持っていたことを証明する証拠を用意すること
証拠例:メール、SNSのやりとり、ホテルに出入りしたり、裸で抱き合っている等
性行為をしていると推測できるような写真や動画、ラブホテルの領収書、探偵の調査報告書等
・慰謝料請求は、不貞行為を知った日から3年または不貞行為があった日から20年で時効となります。また、不倫が原因の離婚での夫への慰謝料請求の時効は、離婚した日から3年で時効です。時効の期間が結構短いので請求する際は気を付けましょう。
・慰謝料の額については、不倫していた期間、程度、離婚の有無、子どもの有無等、夫やご自身の夫婦関係の状況等などが総合考慮されるため、思うような金額が認められない可能性があります。
少しでも多くの慰謝料を請求するためには、様々な証拠の提出や夫婦間の状況を見極め、相手に支払いを認めてもらえるような金額を提示する必要があります。
旦那の不倫が発覚したとしても、カッとなって、即座に夫を問い詰めることは避けるべきです。感情的になるのはよくわかりますが、一呼吸ついて冷静になり、今後も夫婦関係を続けていきたいのか、もう離婚するのか、まずはご自身がどうしたいのかをしっかり考えるようにしましょう。
そのうえで、離婚することとした場合は、弁護士に相談した上で夫の不倫の証拠を集めたり、離婚に向けた準備を着実に進めていく必要があります。
このブログを読んで、「武澤先生に相談したい!」と思ったら、ご遠慮なくご連絡ください。財産分与を含めた離婚話を円滑に進めるために、的確かつ適切なアドバイスを致します。
離婚に向けて、一緒に進んでいきましょう。
私は、毎日、何らかの形で離婚に関する事柄を取り扱っております。
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心配事を少しでも軽くできるように、お話をお伺いします。
※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。
※この記事は、読んでいただいている皆様にとって分かりやすい言葉を使って、記載しております。
※本記事を利用して、ご自身で対処する場合は、自己責任で行ってください。