こんにちは。大阪府豊中市の離婚が得意な弁護士の武澤です。
豊中市のほか近隣の池田市、吹田市、箕面市からも、たくさんのご相談やご依頼をいただいております。
タイトルの件で解説します。
世間では、離婚調停での条件交渉においては、全ての面で女性が有利な条件を勝ち取りやすくなっているとよく言われます。
しかし、実際の離婚調停の場では、調停委員会が公正中立な観点で調停成立に向けて双方にはたらきかけ等をしていきます。
よって、女性だからといって全ての面で有利とは限りません、
確かに、親権、養育費、財産分与等の項目については、女性の方が有利な条件を得られることもあります。
しかし、それは、あくまで、当事者双方の収入や生活・財産状況などを自分に有利に主張することができ、その結果調停委員会がどのように考えたかが反映されたものでもあります。
それでは、具体的に見ていきます。
離婚調停の場は、先ほども記載した通り、調停委員が双方の言い分を交互に聞き、調停委員会が熟慮した落としどころを双方に伝え、解決に導いていくものです。調停はあくまで話し合いの場なので、調停委員が何か決めることはなく、当事者双方が合意しやすいようにする橋渡しのような役割をします。
よって、双方の言い分を精査して、結果を出すことになりますから、男女の性別で差がつくとか、有利、不利が出ることは原則ありません。いかに自分に有利になるように上手に主張できるかの観点が大事です。
但し、下記2点については、確かに女性有利になりやすい傾向があります。
・親権
・財産分与や養育費等の金銭問題
まず、親権についてですが、子供が小さいうちは、母が父よりも長い時間子供と過ごし、世話をしていることが多いため、子供の監護状態の安定という観点から、母親を親権者にする方が望ましいと裁判所が考える傾向があります。
特に乳児は、授乳があることもあり、母親が親権を持つことが多いです。
一方で、最近は父親が育児参加することも増えているため、父親の方が親権者としてふさわしいと裁判所が判断した場合は、父親が親権者と定められることもあります。
共同親権が導入されると、親権の判断は大きく変化していくものと思われます。
次に、財産分与や養育費等の金銭問題についてですが、一般的には、夫のほうが妻よりも多額の収入を得ており、かつ自宅の土地建物、自動車、預金通帳名義等夫名義の財産が多い傾向があります。
そのため、収入や財産の少ない女性の方が、養育費等を決めるにあたって有利になると考えられています。ただ、夫が財産の管理をしていると、妻が夫婦共有財産の情報を持っておらず、財産開示の時点で知らない財産が存在すると問題が生じることもあります。
財産分与は、同居している期間に築いた夫婦の共有財産を、原則2分の1に分けることになります。
よって、一般的に、多くの財産を自己名義で保有する夫から妻に財産を分与することになるため、女性が有利になると考えられています。
以下にポイントを記載しますので、これらをしっかりと把握して、有利に離婚調停を進めていくことが肝要です。各項目で解説もします。
・離婚条件に優先順位をつける
離婚調停の場では、離婚の事実だけでなく、上述の通り、離婚条件についても話し合います。
離婚調停の時間はおおむね2時間程度なので、しっかりと調停委員に自分の希望する離婚の条件を伝えるには、ご自身で納得できる離婚条件を優先順位をつけて整理しておくことが肝要です。
あらかじめ離婚条件に優先順位をつけ、例えば、慰謝料は最低限この金額くらいなら納得する、親権は絶対に取るというように決めておけば、ご自身のご希望を明確に伝えることができると思います。
分かりやすく伝えるために、ご自身が調停で主張したいことがらを主張書面にまとめて、事前に家庭裁判所と相手方に提出しておくと効果的です。
そして、調停は話し合いですから、最後に合意するためには、譲れるところは譲ることが必要になることがあります。その時に優先順位がしっかりしていれば、譲れるところ、譲れないところ、判断しやすくなります。
・慰謝料や財産分与に関する証拠を準備しておく
慰謝料については、例えば、夫からDVを受けたことや浮気をしている事実を裏付ける証拠が必要不可欠です。
財産分与については、例えば、夫側が財産の資料を隠して出さないことがあります。その際に、ご希望の金額を調停委員に提示しても、調停委員としては、本当にその希望額を支払えるだけの財産を夫が持っているのか客観的な資料で確認する必要があります。
夫名義の財産の証拠を提出することで、ご自身が主張する慰謝料や財産分与の金額が適正かつ確実に夫側から支払ってもらえる金額であることを、調停委員に示すことができ、有利な結論に導きやすくなります。
・親権を取るなら育児に中心となって関っていることを証明できるようにする
親権を取りたい場合は、お子さんが生まれてから夫婦関係が破綻するに至るまでの間に、積極的に育児に関わっていることが肝要です。また、別居親と子供の親子交流に配慮できることも必要です。
なお、男性であっても、十分な育児の実績があり離婚後も子供を監護養育していくことが可能であれば、親権を取れる可能性があります。
・調停中はあくまで冷静でいること
離婚調停の場は、調停委員を介して話し合うことになるため、調停委員のいる部屋に当事者双方が交互に入りながら、自分の希望する条件を主張することになるため、その場で直接相手と顔を合わすことはありません。
しかし、当事者双方で話が食い違うことが多い中、有利にするために嘘の主張をすることでご自身をおとしめるような発言をしてしまうことがあります。
相手方の作戦かもしれませんし、相手方がそう思い込んでいるのかもしれません。
いずれにせよ、そのような相手の挑発的な行為に乗っかってしまって、調停委員に対して厳しい口調で主張したり、悪態をついてしまうことになると、調停が長引くだけで、話し合いが難航して解決が難しくなります。
離婚をすること自体が、肉体的、精神的にエネルギーを非常に使う行為なので、精神が不安定になり感情的になりがちですが、調停の席では常に冷静にいることが肝要です。
・調停委員の心証を良くすること
当然ながら、調停委員は公正中立な立場の裁判所の方です。
一方で、調停委員は人間です。
法律や過去事例に則って機械的に考えるだけでなく、対応している当事者の表情や態度等から心証形成して調停を進めることがあり得ます。
ですので、調停委員に悪心証を持たれないような態度と言葉遣いをすることが肝要です。
服装についてよく聞かれますが、女性は華美なものは避けた方が良いですが、スーツまでは必要ありません。男女ともにカジュアル過ぎず清潔感のある地味目の服装が良さそうです。
離婚調停を含め、裁判したり、登記したり、営業許可を申請したり、確定申告したりと、各種の専門的な行為は、ご自身で対応することも可能です。
ご自身での対応が難しい場合は、弁護士、司法書士、行政書士、税理士等わが国には、各種法律行為を代理、代行できる国家資格者が数多く存在します。
もし、ご自身で離婚調停に対応することが難しい、相手方が弁護士をつけた、肉体的・精神的負担が大きい、冷静かつ的確に調停委員と話をすることが難しい等とお考えでしたら、離婚が得意な弁護士に依頼することも一考かと思います。
弁護士に依頼することで、下記のようなメリットが得られ、調停を少しでも有利に進めることができる可能性があります。
・証拠収集に関して、主張が認められやすいようにするための的確なアドバイスがもらえる
・離婚調停申立書類作成や主張書面、各種資料等の準備・提出を任せることができる
・依頼した弁護士を代理人として調停の出席や交渉をお任せできる(ただし、離婚調停や面会交流調停はご本人が出席するのが望ましいです。弁護士が同席して適切なサポートを行います。)
調停を申立ててから解決に至るまで、調停委員会を納得させるための効果的な様々な書類作成や証拠等の資料収集・提出、調停の席で主張を伝えることなど、様々な面で離婚が得意な弁護士が、依頼者であるご自身のご希望と離婚条件に合わせて、有利な状況に円滑に調停を進めていけるように対応していきますので、安心かつ肉体的・精神的負担を軽減し、さらに冷静な精神状態で離婚調停を進めていくことが可能になります。
最初に記述した通り、世間的には離婚調停は女性有利と言われることがありますが、実際に証拠書類を提出したり、主張を展開していく中でどちらが有利になるかは事案によって異なり、決して性別で有利不利があるとは限りません。
確かに、夫は外に働きに行き、妻は家事と子育てという役割分担がはっきりしていたら、経済的に弱く、育児に積極的に関わっている女性の方が、親権等の主張が認められやすいという面はあります。
しかし、近年の夫婦共働きかつ、収入の差があまりない夫婦の場合ですと、男性の方が有利に働くこともあるかもしれません。
どのような状況であっても、調停委員会が納得するようなご自身の主張が法的に正しいと認められるような証拠書類の提出と主張を述べて話し合うことが、ご自身の納得のいく離婚をするためのキーポイントになります。
そこで、離婚に強い弁護士に依頼することも、ご自身の納得がいく離婚を成立させるためのひとつの方法ですから、検討する余地があると思います。
もし、離婚調停でご不安をお感じでしたら、これまで多数の調停の代理人を務め多数の調停を成立させてきた私にご相談いただけたら幸いです。
現状をお伺いし、最適なアドバイスができるかと思います。
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私は、毎日、何らかの形で離婚に関する事柄を取り扱っております。
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