離婚する際に気を付けておくべきお金の問題

コラム
こんにちは。大阪府豊中市の離婚が得意な弁護士の武澤です。   タイトルの件で解説します。   まず、離婚手続は法的なものです。慎重かつ着実に様々な手続を同時進行かつ漏らすことなく進めることになります。一旦離婚が成立してしまうと、離婚後にお金の話を持ち掛けても、相手方が応じてくれないこともありますので、離婚届を出す前に、お金の問題はしっかり解決しておきましょう。   離婚に合意し子供の親権者も決まると、その後はお金の問題がお二人の間に立ちふさがりますので、お互いの感情と相まって、離婚問題を複雑化させる恐れがあります。   離婚により発生するお金の問題は、主に3つあります。   1.財産分与   財産分与とは、簡単に言うと、夫婦が結婚生活で協力したことで得た共有の財産を、夫婦で分けることです。 なお、奥さんが専業主婦であっても、財産分与は認められます。 なぜなら、夫の収入は妻の家事等の支援があって成立する、と考えるからです。   なお、結婚前から保有していた財産や、お互いのご両親等からの贈与や相続で発生した財産は共有財産には含まれません。 預金等の口座情報は10年経過すると取り寄せできない場合もあり、婚姻時の残高確認のためには古い通帳も捨てずに保管しておく方がいざという時に役立つことがあります。   ・財産分与の対象 具体的なものとして、以下のようなものがあります。   ・預貯金 ・株式や投資信託、有価証券 ・不動産 ・自動車、絵画、宝石など(動産) ・生命保険の解約返戻金 ・退職金 ・確定拠出年金 ・小規模企業共済 ・ゴルフクラブの会員権     ちなみに、財産分与の割合は、原則として夫婦それぞれ2分の1です。これはあくまで原則で、2分の1以外の割合での協議が成立すれば、その割合でも問題ないです。 特に、共有財産が多額な場合は、1%の違いで、金額が大きく変わってきます。このような場合は、離婚専門の弁護士と協力して、これまでの仕事や生活における貢献度を踏まえて交渉することも考える必要があります。     2.婚姻費用・養育費   夫もしくは妻が相手方に離婚することを宣言する等して、すでに家を出てしまった場合は、婚姻費用の支払いを求められることがあります。   婚姻費用とは、別居後の相手方と未成年の子どものための生活費です。別居してから離婚が成立するまでまたは再び同居するまでの間は、収入の高い側が低い側に支払い続ける義務があります。   ちなみに、養育費とは、離婚が成立した後に、相手方が未成年の子どもを養っている場合に、その子どものために支払うお金のことです。   これらの費用計算の基準として、裁判所が公表している「養育費・婚姻費用の改定標準算定表」を利用することが多いです。 なお、この算定表は、一般的な家庭を想定して作られており、年収に上限があることに注意が必要です。 給与所得者については2000万円(源泉徴収票の支払金額)が最大、自営業者については1567万円(確定申告書の課税される所得金額)が最大です。上限以上の高額所得者の場合は、この算定表を参考に、生活の実態に合わせて、個別具体的に金額を算出します。 この主張や立証で、金額の変動が場合によっては大幅に発生するため、慎重に検討して、自分に有利な主張を行う必要があります。   3.慰謝料 よく、離婚相談の時に、相談者さんから「慰謝料はしっかりともらいたい!」というお話が出ます。慰謝料とは、簡単に言うと、精神的苦痛を相手から受けた場合に、その苦痛に対する損害賠償として支払われるものです。 主に、離婚時に慰謝料を請求することになる原因としては、浮気、DV、モラハラなどが挙げられます。 ですから、離婚原因で一番多い「性格の不一致」と呼ばれる、「なんとなく合わないから離婚したい」とか、「この人ともうやっていけない」というお考えに基づくものでは、慰謝料は発生しません。ただし、離婚をパートナーから突き付けられた場合、とりあえず慰謝料を請求してくることはよくあることです。よって、安易に慰謝料の支払いに応じてはいけません。慰謝料を請求されたらまずは弁護士に相談しましょう。 また、芸能人や著名人の不倫やDVなどの離婚ニュースで、高額の慰謝料を支払ったことが話題となったことが影響し、高額所得者の離婚の場合は、パートナー側から多額の慰謝料を請求されることが結構多いです。 一方で、訴訟で認められる慰謝料額は、収入が根拠となることはあまりありません。なぜなら、慰謝料の算定根拠は、肉体的もしくは精神的な苦痛に対するものだからです。 しかし、高額所得者の場合には支払能力があることで、法的根拠を無視して、協議や調停の交渉時に、高額の慰謝料(私はどちらかというと手切れ金や解決金という性格のものだと考えています。)の支払いを要求され、早期解決のためにお金を支払って合意するというケースは実際にあります。   だからこそ、しっかりと法的根拠の有無や相手方の主張を読み取り、慰謝料の金額が妥当なのかを見極める必要があります。   以上、3つのお金の問題について書きましたが、離婚をするためには、様々なハードルを乗り越えて、お互いに納得しないと合意が成立しない事柄です。   もし、離婚のことでお困りのことがありましたら、まずは下記よりお電話、メールを下さい。   心配事を少しでも軽くできるように、お話をお伺いします。   ※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。   ※この記事は、読んでいただいている皆様にとって分かりやすい言葉を使って、記載しております。   ※本記事を利用して、ご自身で対処する場合は、自己責任で行ってください。