離婚協議書作成におけるポイント

コラム
こんにちは。大阪府豊中市の離婚が得意な弁護士の武澤です。   タイトルの件について解説します。   私の事務所にご相談される方で、離婚協議で取り決めた確約事項をまとめた離婚協議書を基に公正証書を作成するケースが数多くあります。   そこで、公正証書作成の土台となる離婚協議書作成におけるポイントをお伝えします。     1.離婚をすることに関する合意   離婚協議書を作成する目的を文章化します。離婚の合意の確認と夫または妻のいずれがいつまでに離婚届を提出するのかなど、基本的な事項を記載しましょう。 多くの場合は、新戸籍編纂や離婚後の氏の選択の必要性から戸籍から除籍される方が離婚届を提出するという取り決めをしています。 婚姻時の氏を離婚後も継続する場合は、離婚届と同時に離婚の際に称していた氏を称する届を提出しておきましょう。 お子さんがいて一人親支援の申請等が必要な場合は、事前に市役所に問い合わせて、離婚届提出後スムーズに手続を行うことができるように準備しておくのがお勧めです。   2,財産について   ・財産分与 夫婦の共有財産について、協議した結果、どのように分けることになったかを文章化します。 結婚期間中に取得した不動産等の財産は、ご夫婦いずれかの単独名義であっても、特段の事情がない限り夫婦の共有財産とされ、財産分与の対象になります。 不動産、預貯金の他保険の解約返戻金、退職金、株式、有価証券等財産分与の対象はご夫婦の財産状況によって様々ですので、財産分与が問題になる場合は、一度専門家に相談することをお勧め致します。   ・慰謝料 不倫等が原因で離婚となった場合、もう一方の精神的苦痛を慰謝するために、慰謝料の額、支払期限及び支払い方法を文章化します。 その他一方が離婚したくない他方に対して強く離婚を求める場合や離婚後の生活や引越代の負担など離婚を円満に進めるための方策として解決金という名目で金銭の支払いを取り決めることもあります。 支払いをちゃんとしてもらえるのかどうか不安がある場合、条項の定め方によっては間接的に支払いを強制することも可能です。   ・年金分割 結婚期間中の厚生年金保険の記録についても、条件を満たす場合夫婦間で分割されます。 万一、取り決めしない場合でも、3号分割の条件を満たす期間については、お住まいの地域の年金事務所で「3号分割」という手続きを踏めば、結婚期間中の年金を請求できます。 まずは、年金事務所で、「年金分割のための情報通知書」を取り寄せることから始めてみましょう。請求をしてからお手元に届くまで3週間程度かかることが多いようです。同居中で内密に離婚の準備を進めたい場合は、情報通知書は通常自宅に郵送されるので、郵送ではなく年金事務所で受け取りを指定すると良いです。   ・婚姻費用 離婚する前に、既に別居していた場合は、別居期間中の生活費について取り決めることも可能です。別居後金額を取り決めたけれども、途中から支払がなくなったというような場合、離婚に当たり未払分を支払ってもらうことも可能です。 こちらも文章化します。   3.お子さんがいらっしゃる場合   夫婦にお子さんがいらっしゃる場合に、必ず決めておくべき事項です。   ・親権者 親権者は、法律上、夫婦のどちらか一方に定める必要があるので、その旨を記載します。 一方、親権者を一方に指定する協議が成立しない場合は協議・調停離婚はできませんので、最終的には裁判になり、お子さんのこれまでの監護状況や将来等を踏まえたうえで、家庭裁判所がどちらか一方を親権者として定めます。   ・養育費 離婚協議の結果、お子さんと一緒に暮らさない親から一緒に暮らす親に対して支払うもので、支払開始時期と終期、金額、支払い方法等を取り決めて文章化します。病気・怪我による入院、進学のための費用等の特別の費用についても別途協議できるように約束しておきましょう。 養育費の額については、夫婦それぞれの収入、お子さんの人数や年齢などによって、裁判所で使用されている「養育費・婚姻費用算定表」を基にして決めるのが一般的です。相場が分からない時の参考にもなります。   ・面会交流 お子さんと一緒に暮らさない親がお子さんと交流する回数(例:毎月1回、日曜日)、その方法(例:外で会う)時間(例:午前10時~午後4時まで)などを文章化します。 面会交流の頻度・時間・方法等は、子供の成長段階によって変化していくものですから、取り決めの内容の細部にあまり神経質にならずに、子供の成長に合わせて柔軟に実施できるような取り決めが望ましいです。   4.清算条項   これは、作成する離婚協議書に記載されたもの以外には、夫婦間には財産上の権利や債権債務関係がないことを確認するものです。 離婚後の夫婦間のトラブルを防止するのに最適な事項です。 一方で、この項目を入れると、離婚協議書合意前の事柄については、一切請求をすることができなくなります。 そこで、離婚協議書の内容に漏れがないかを夫婦双方で、慎重に確認しましょう。     もし、離婚のことでお困りのことがありましたら、まずは当事務所にお電話、メールでお問合せください。   心配事を少しでも軽くして前向きに行動していけるように、じっくりお話をお伺いします。   ※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。   ※この記事は、読んでいただいている皆様にとって分かりやすい言葉を使って、記載しております。   ※本記事を利用して、ご自身で対処する場合は、自己責任で行ってください。