こんにちは。大阪府豊中市の離婚が得意な弁護士の武澤です。
豊中市のほか近隣の池田市、吹田市、箕面市からも、たくさんのご相談やご依頼をいただいております。
タイトルの件で解説します。
二度と浮気をしないとか、次浮気が発覚したら離婚して慰謝料を支払うとか、よく約束を破ったときの次善策として誓約書を作成することがあります。
では、その誓約書の効力ってどれくらいのものがあるのか、次に浮気されたときは離婚を決めている場合に、いつ、どんな時に、どのような効果を発揮するのかについて、不安に思う方がいらっしゃると思います。
このブログでは、誓約書を作ったときに発生する効力や誓約書の記載内容を破られたときの対応について解説します。
「誓約書ってつくっても意味があるのかしらん?」と思われたら、一度このブログを読んでみてください。
お役立ちできたら幸いです。
そもそも論のところになりますが、誓約書って耳にはしたことがあっても、意外と作る機会がないので、実際にどんなものなのかが分からないという方が、私のところに相談に来られる方の中にもいらっしゃいます。
誓約書とは何かといいますと、「約束事を守るという意思表示を書面化したもの」です。
そして、誓約書を作成する理由として下記のようなことが挙げられます。
・「言った・言わない」の水掛け論を回避する
・浮気の再発を防止する
・次に浮気をしたときの罰を決めておく
・誓約した者に誓約した内容を守らなければならないという心理的圧力を与えられる
上記を盛り込んだ誓約書を作成することで、万一将来に浮気をされた場合でも、対策が打てるなどの安心感につながることになります。
誓約書の作成は、通常は浮気をされた方が作ることになるかと思います。
二度と浮気をしない、浮気相手とは二度と接触せずきっちり関係を清算する、慰謝料を支払うなどの誓約する内容をお互いに決めて、それを浮気をされた方が文書化し、お互いに内容を確認したうえで、署名押印するのが誓約書作成の流れになります。
浮気をされたことに対する次善策としての誓約書が無事に作成できたとして、次に気になるのは、どんな効力を持つのかだと思います。
そこで、効力について解説します。
誓約書が効力を発揮するのは、離婚の話し合いの時、とりわけ離婚裁判においてです。
誓約書を当事者間で作成しておくことで、浮気の事実があったことや慰謝料の支払いの約束を証明するための有力な証拠となります。
慰謝料の支払いが盛り込まれた浮気に関する誓約書をお互いに交わしていれば、それだけで
・浮気をしていた事実
・慰謝料を支払うことを約束した事実
が証明されることになり、浮気されたことで離婚を希望する方の言い分が認められる可能性が高くなります。
ですから、この誓約書の効力が十分に発揮されるためにも、内容の正確さと正当性を持たせることが重要です。
そして、もう一つの方法として、誓約書自体を公正証書で作成することがあります。特に慰謝料の支払い等、金銭について明確な取り決めがある場合はお勧めします。
公正証書とは、公証人という方が監修して作成する文書のことで、誓約書はもちろんのこと、離婚協議書等でも作成されます。
公正証書は、公証人という公務員が関与する公文書になるので、証明力が高いです。
そして、強制執行認諾条項をその公正証書に定めておくことで、万一、慰謝料の支払いが滞っても、裁判の判決書と同様に強制執行による差押えができるようになります。
- 相手が誓約書の記載内容を守らなかった場合はどうする?
誓約書を作成する理由や効力については上記でお分かりいただけたと思います。
それでは、せっかく作成した誓約書の記載内容について約束を破られた場合の対応はどうすべきでしょうか。
対応としては下記の事項が挙げられます。
・相手に直接連絡を取る
・弁護士に相談する・依頼して示談交渉をする
・裁判で請求をする
いずれにせよ、何らかのアクションを取り、相手の出方を待つという形になります。
また、浮気の関係清算ができていないことに関する誓約書の約束違反があった時は、先に証拠集め等を行い、徹底的に相手の言い逃れができない状況にしてから交渉を開始しないと、言い逃れなどをされる可能性があるため、準備やタイミング等が大事です。
もし、ご不安に感じるようでしたら、私を含めた離婚に強い弁護士に相談することも検討いただけたらと思います。
そして、誓約書の記載内容を破った場合、相手方に請求できるものは下記の事項が挙げられます。
・慰謝料等の罰則を実行してもらうこと
・慰謝料の分割支払い条項を定めていた場合における残額一括払い条項(期限の利益喪失条項)の発動
→残額一括払い条項が入っていなかったとしても、相手に残額一括支払いの請求を行うことが肝要です。
・慰謝料の遅延損害金
→誓約書に定めていなくても、債務不履行に対するペナルティなので、通常は民法上の3%を請求可能です。
上記請求を行うにあたって、注意すべき事項としては下記のことがあります。
・暴言を吐いたり脅迫や暴力をしない
・無理な取り立てをしない
これらを行ってしまうと、名誉棄損、暴行、傷害、恐喝などの刑事罰で訴えられる可能性が出てきますので、あくまで冷静に対応して法的手段を活用して請求しましょう。
上記のような約束破りが発生することはある程度予測できることです。
ですから、約束破りが発生しにくい状況を作ることが肝要です。
具体的には、「公正証書化すること」「約束破りに対する罰を明記しておくこと」に尽きると思います。
これらを行うことで、浮気をした相手に心理的圧力をかけることができ、次回に浮気をされる可能性を低くすることができると思います。
そして、公正証書化することで、先ほどもお伝えしましたが、相手がもし誓約書通りに慰謝料を支払わなかったり、支払いがなかった場合には、財産の差押えが行えます。
ただし、公正証書化したとしても、公序良俗に反するペナルティ、例えば慰謝料として1000万円を即金で支払うことや、全財産を浮気された方に引き渡すなどのペナルティの取り決めについては認められませんので、ご注意ください。
今回は、誓約書を作成する意味とその効力、誓約書の記載内容が守られなかった場合の対処法等について解説しました。
誓約書自体については、即座に発揮されるような法的効力はないものの、離婚裁判までもつれ込んだ時に有力な証拠となるため、作成しておくことが大事だと考えます。
また、誓約書を公正証書化することで、誓約書に法的効力を持たせたり、強制執行認諾条項を盛り込むことで、慰謝料支払いが滞ったり、支払いが無かった場合には、即座に差し押さえを行うことができます。
そして、万一、誓約書の記載内容を破られたり、守られなかった場合に、ご自身でご対応する方法としては、直接相手に連絡を取るくらいしか方法が無く、場合によってはトラブルに発展する可能性が否定できません。
そこで、離婚に強い弁護士に依頼することも、直接交渉の精神的苦痛から解放されるひとつの方法ですから、検討する余地があると思います。
もし、誓約書作成でご不安をお感じでしたら、私にご相談いただけたら幸いです。
現状をお伺いし、最適なアドバイスができるかと思います。
そして、このブログを読んで、「武澤先生に相談したい!」と思ったら、ご遠慮なくご連絡ください。
私は、毎日、何らかの形で離婚に関する事柄を取り扱っております。
もし、離婚のことでお困りのことがありましたら、まずは下記よりお電話、メールを下さい。
心配事を少しでも軽くできるように、お話をお伺いします。
※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。
※この記事は、読んでいただいている皆様にとって分かりやすい言葉を使って、記載しております。
※本記事を利用して、ご自身で対処する場合は、自己責任で行ってください。