「教えて!明日香先生」:夫がアスペルガーの傾向があると言われたけど離婚できるの?

コラム
こんにちは。大阪府豊中市の離婚が得意な弁護士の武澤です。   私は、離婚を中心に、様々な男女問題に関する相談を日々受けております。   この、「教えて!明日香先生」のカテゴリーでは、頂いた相談を一般化して、読者の皆様が分かりやすく、そして離婚や男女問題に悩む方向けに、知識として、広く知っていただけるように、Q&A方式にして、お届けします。   ですので、読者の方にそのまま当てはまるとは限りませんが、ご参考として読んでいただけたら幸いです。   Q.夫がアスペルガーの傾向があるけど、離婚できるの?   明日香先生、こんにちは。   O川と申します。29歳です。31歳の工場勤めの夫と6歳と4歳の娘2人の4人で、夫名義の持ち家で暮らしています。結婚5年目です。   先日、夫から離婚したいと言われて、面食らっているところです。 しかし、私も夫の娘に対する接し方を見て、「離婚」の二文字がよぎっていたところです。   実は、上の娘に対して、精神的に追い込むような発言や態度を取る機会が多く、娘は不眠症や不安障害に陥っております。   先日、精神科医に診察をしていただき、学校にも相談をしたところ、スクールカウンセラーに定期的な面談をした方がよいとのことで、スクールカウンセラーと娘と私とで三者面談をしました。その際に「ご主人は、アスペルガーの傾向があるのでは?」との話が出ました。   夫の普段の行動で、誰もいないのにそこに向かって話しかける、私を含めて、周りが見えていないようで、夫に声をかけても無視する、急に早口でまくし立てるように一方的にしゃべる、今みんなで見ているテレビを勝手に変えるなど、人の気持ちを考えてないような常識では考え難い行動を取ります。   当然ながら、精神科や心療内科に行くように促しているのですが、夫には自覚はなく当然行く気はないし、そのことを話すと、「オレを病人扱いしやがって!馬鹿にしてるのか!」と激怒します。 私もいろいろとそのような現場を見聞きしているとしんどくなってきて、精神的に苦痛を受けています。 そこで、私から言おうと思ったのですが、まさか夫から言ってくるとは思っていなかったので、面食らっています。   ただ、当然ながら離婚するわけですので、慰謝料、養育費、親権をしっかりと交渉したいところです。話し合いが上手く進まず、おそらくもめると思いますし、調停や裁判までもつれる可能性があります。   その場合、アスペルガーを理由とした離婚はできるのでしょうか。   私も離婚となったら、まだ幼い子供を抱えることとなるので、仕事に行くことはなかなか難しいと思いますので、お金はできるだけ夫に請求できるようにしたいです。   どんなふうに進めていったらいいでしょうか。   アドバイスのほど、よろしくお願いします。  
  1. O川さん、本日はご相談にご来所頂き、ありがとうございます。
ご主人がアスペルガーの傾向にあり、普段からコミュニケーションがうまく取れなかったり、親子関係がまずくなっている旨、非常に心労が大きいと思います。 私がお話を伺うことで、何かしら妙案等が出てくるかもしれませんので、今日の面談を参考にしてください。   まず、離婚自体に争いがなければ別ですが、ご主人がアスペルガーと診断されたとしても、このことのみを理由とした離婚は裁判までもつれたとしてもできないと考えます。   なぜなら、法定離婚事由という5つの条件があるのですが、そのうちの「重篤な精神病」例えば、統合失調症等に該当するかといえば、そうはならないからです。ですので、現状で離婚するのであれば、協議もしくは調停で決着をつけないと難しいと思います。   次に慰謝料についてですが、現状ですと請求すること自体はできそうですが、綿密な証拠を積み上げる必要があるので、ボイスレコーダーの録音や日記等のメモが重要になってくると考えます。 また、お金の面での不安を少なくするのであれば、財産分与や解決金という形で請求することも考える必要があります。   三つ目に、2人の娘さんの養育費については、しっかりと取り決めして、後々もめることがないようにしましょう。具体的な金額は、お互いの収入と生活状況を勘案して、最終的には裁判所の算定表に当てはめて取り決めるのも一つの方法です。   最後に、親権については、別居状態となり、O川さんが単独で育児をすることが常態化すれば、O川さんが持つことになる可能性が非常に高いです。母親が子どもを育てている状態であれば、親権は、母親となる可能性は高いです。養育費については、揉めた場合は、お互いの収入と生活状況(うつ病の治療も含む)により、裁判所で決めてもらうことができます。慰謝料は、アスペルガーであったとしても、精神的DVに該当する場合は認められます。但し、どの程度の金額とすべきかは、人格障害や様々な事情を考慮して、低めになることはあり得ます。離婚しても子どもの父であることはかわりませんから、離婚後も子供が父親と交流できるようにするためにも、アスペルガーの治療を夫に促すことも必要になりますね。   また、今日以降で困ったことがあったり、進展がありましたら、都度ご相談ください。   O川さんが、明るい未来で生活できるように、サポートいたします。   もし、離婚のことでお困りのことがありましたら、まずは下記よりお電話、メールを下さい。   心配事を少しでも軽くできるように、お話をお伺いします。   ※この記事は、公開日時点の法律をもとに執筆しています。   ※この記事は、読んでいただいている皆様にとって分かりやすい言葉を使って、記載しております。   ※本記事を利用して、ご自身で対処する場合は、自己責任で行ってください。