こんにちは。大阪府豊中市の離婚が得意な弁護士の武澤です。
最近は、豊中市だけでなく、近隣の池田市、吹田市、箕面市からも、たくさんのご相談やご依頼をいただいております。
離婚話が進まないからと言って、勝手に離婚届を出すと、どうなるのでしょうか。
タイトルの件で解説します。
離婚に関する話し合いをしていても、条件が合わない、なかなか進まない、そもそも取り合ってくれないなどで、離婚できない方がいらっしゃると思います。
そんな状況を打破したくて、勝手に離婚届を出して、離婚だけ成立させて、相手の顔を見ないようにすることを優先しようと思っていたら、ちょっと待ってくださいね。
これをしてしまうと、離婚届が無効となり、離婚できないだけでなく、犯罪行為に該当する可能性が高くなります。
そこで、勝手に離婚届を提出した場合に起こり得る危険性を本ブログで解説します。
さっさと勝手に離婚届を提出してしまおうと思った方、このブログを読んで、一度冷静になって、ぜひ踏みとどまってくださいね。
そもそも論から入りますが、離婚届をお互いの同意を得ずに提出した場合は、その届出は無効となります。
この点は、婚姻届と同じです。
ただし、離婚届は、お住いの市区町村役場に提出することになりますが、役所窓口は、離婚届に必要な記載事項が全て埋まっていれば受理しますので、紙ベース上では、離婚は成立してしまいます。
よって、この離婚が無効であることを確定するためには、協議離婚を無効にするための調停や訴訟を起こす必要があるので、そのような面倒なことにならないようにする防止策としては、「離婚届不受理申出制度」を使い、勝手に提出された離婚届を役所が受理しないようにする方法があります。
では、勝手に離婚届を提出したときの危険性を下記に記載します。
・協議離婚が無効になる
先述の通り、双方の同意のない離婚届は無効です。
勝手に提出した離婚届でも、配偶者が離婚届不受理申出制度を使っていなければ、役所は受理してしまいます。
しかし、配偶者側が離婚届提出に同意していないのに、役所が受理したとなると、協議離婚無効確認調停や訴訟を起こされ、協議離婚を無効にしてほしいと要求してくることは容易に想像できます。
そして、この要求について、配偶者がきちんと証拠を揃え主張に問題が無ければ、協議離婚は無効であるとの判断が出る可能性が高いため、場合によっては、次に記載する犯罪行為が成立する可能性が出てきます。
・犯罪に問われる
勝手に離婚届を提出することで、刑法の有印私文書偽造罪、偽造有印私文書行使罪等に問われる可能性が非常に高いです。
今後の離婚交渉においても不利に働く可能性があるため、絶対にやめるべきです。
・慰謝料を請求される
勝手に離婚届を提出することで、上記2点の危険性が高まり、結果として、相手側から勝手に離婚届を提出されたことによって精神的苦痛を受けたとして、慰謝料を請求される可能性が高まります。
また、不倫相手と結婚したいがために、勝手に離婚届を提出したなどの悪質な場合でしたら、高額な慰謝料を請求されることを覚悟しなければなりません。
このような危険性をはらんでいることから、配偶者の同意なく勝手に署名して離婚届を提出することは厳に慎むべきです。
- 話し合いのみでは離婚まで進まない場合は、どうしたらいいのか?
夫婦間では、離婚話が進まないことは多々あります。
そうなってくると、まずは家庭裁判所に離婚調停を申し立てることから始まります。
調停の場では、調停委員が間に入り、夫婦間の主張や条件を聞き取って、離婚に関する話し合いを進めていきます。
よって、第三者が入ることで冷静な話し合いが可能になり、離婚の合意形成の可能性が高まります。
そして、調停でも離婚合意まで至らなければ、離婚裁判を起こすことになります。
離婚裁判の場合は、このブログで頻出する「法定離婚事由」があるかどうかで離婚の可否を判断します。
法定離婚事由は、下記の5つです。
・不貞行為
・悪意の遺棄
・3年以上の生死不明
・回復の見込みのない強度の精神障害
・その他婚姻を継続し難い重大な事由
離婚裁判まで引っ張られたとしても、上記5つの項目のいずれかに当てはまれば、離婚は成立しやすくなりますので、勝手に離婚届を提出することは絶対にやめましょう。
離婚届を勝手に出すと、協議離婚が無効になるだけでなく、犯罪行為に該当するとして、逮捕、起訴される可能性すらあります。
ですから、離婚の話し合いがなかなか進まなかったり、条件に食い違いが多々ある等で、業を煮やした時こそ、家庭裁判所に調停を申立てて話を進めることを考えましょう。
そして、家庭裁判所での調停や裁判へと発展することになったら、離婚に強い弁護士に相談することも検討しましょう。
離婚に強い弁護士に相談することで、ご自身にとって有利な離婚へと導けるアドバイスを聞ける可能性が高いですし、ご自身での対応が難しい場合は相手との交渉や各種法的手続きも代理できますので、相手と直接接触することなく離婚へと進められます。
これにより、肉体的、精神的な負担が軽減されることで、心身ともに余裕が出てきて、冷静な判断ができ、ご自身の主張を明確かつ的確にでき、悔いのない離婚ができると思います。
弁護士に相談して頭の中が整理されることで、さらに有利な証拠が見つけられたり、離婚条件を提示できることも少なくありません。
ご自身の明るい未来を切り開いていくために、離婚に強い弁護士のサポートを受けると心強くより有利な結果を得られる可能性が高まります。
そして、このブログを読んで、「武澤先生に相談したい!」と思ったら、ご遠慮なくご連絡ください。
私は、毎日、何らかの形で離婚に関する事柄を取り扱っております。
もし、離婚のことでお困りのことがありましたら、まずは下記よりお電話、メールを下さい。
心配事を少しでも軽くできるように、お話をお伺いします。
※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。
※この記事は、読んでいただいている皆様にとって分かりやすい言葉を使って、記載しております。
※本記事を利用して、ご自身で対処する場合は、自己責任で行ってください。