お子さんが複数人いるときの離婚

コラム
こんにちは。大阪府豊中市の離婚が得意な弁護士の武澤です。   最近は、豊中市だけでなく、近隣の池田市、吹田市、箕面市からも、たくさんのご相談やご依頼をいただいております。   タイトルの件で解説します。   離婚するだけで相当なエネルギーが必要になりますし、今後の生活面での不安が出てきますが、お子さんが2名以上いると、さらに子育てのための費用を考える必要があり、離婚すること自体を躊躇する方が多いと思います。   確かに、近年は保育園にお子さんを預けて、お母さんは正社員として働くことも、社会的に認知され、ライフスタイルの一つとして確立しましたが、やはりお子さんを育てることが日々の生活のメインとなってきますので、お仕事をすることへの躊躇や、仕事時間を短縮えざるを得ないことがあります。結果として、経済的な面で離婚後の生活に不安を感じ、離婚したいと思っても、離婚できないこともあるかと思いますし、実際の問題として離婚後経済的にやっていけるかどうかは、よく考えるべき問題です。   そこで、今回のブログは、離婚後の経済的な面を支える養育費等について、詳細をお伝えします。   お子さんの将来の幸せを最優先にし、ご自身の将来もより豊かなものにするための離婚をするためのご参考としていただけたら幸いです。  
  • お子さんが複数いる場合の懸念点
お子さんが1人でもいると、子育てのための費用が発生します。また、お子さんの数が増えると、人数分だけ増えることになります。 まずは、子育てにおける経済的な懸念点を挙げます。   ・お金がかかること 日々の生活費はもちろんのこと、教育費がとてもかかります。 お子さん一人当たりの教育費として、幼稚園から大学まで全て国公立に通った場合ですと、約700万円程度、全て私立ですと、約2000万円程度かかると言われています。 また、学校に通っている期間では、毎日の食費や日用品を購入するためのお金が約2000万円程度必要と言われています。 これらを合算するとお子さん一人当たり約3000~4000万円程度かかることになります。 特に教育費は、お子さんの将来にもつながることになりますので、なかなか削減することができない項目になります。   ・子育て期間が長くなる お子さんが複数いる場合は、大学卒業までとして、初めてのお子さんが約22年の子育て期間ですが、複数いる場合は、さらに下のお子さんが22歳になるまで子育てをする必要があるため、必然的に子育て期間が長くなります。 例えば、3人きょうだいで、初めてのお子さんから最後のお子さんの年の差が6歳で、全員大学卒業までと想定すると、子育て期間は約28年必要になります。 特にお子さんが小さいときは、お母さんが付きっきりになりますので、その期間が長いと負担が相当に大きいです。   そこで、お子さんが複数いるご夫婦が離婚すると、下記のような問題点が考えられます。   ・お金の工面や子育ての負担が一方にのしかかる 離婚前は、当然ながら夫婦協力して子育てを行う必要があるため、経済面、生活面で夫婦ともに子育ての負担を分け合うことになります。 しかし、離婚して、お子さん全員の親権者になった方は、お子さん全員の経済面、生活面を支える義務が発生しますので、子育てをしながら働きに出る必要があるなど、相応の負担を背負うことになります。   ・きょうだいを引き離す方法もありますが・・・ 上記のように、親権者になった方がお子さん全ての経済面、生活面を支えるのがしんどいので、夫婦双方それぞれでお子さんの親権を分ける方法もないわけではないです。 ただし、上の子は夫、下の子は妻のように、どちらがどの子を引き取るのかを親同士で決める必要がありますし、きょうだいが分かれると、お子さんの精神面での負担が非常に大きくなりますので、好ましい状況とは言えません。 また、お子さんがいるご家庭での離婚は、「兄弟不分離の原則」という、お子さんはきょうだい全員一緒に育てるのが子の福祉上望ましいという考え方がありますので、なかなか難しいところです。  
  • お子さんが複数いる夫婦の離婚で抑えるべきポイント
そこで、お子さんが複数いる夫婦が離婚するにあたって抑えるべきポイントを、以下に説明します。   ・養育費 離婚すると、元夫もしくは元妻のどちらかが親権を持ち、お子さんを生活面、経済面で支える必要が出てきます。 よって、親権を持った方は、必然的に子育てのお金が必要になります。 そこで、親権を持った方は、親権を持たない方に養育費を請求して、子育ての費用を分担してもらう形をとります。 なぜなら、親には子供を扶養する義務があるので、離婚したからと言って、お子さんの扶養義務がなくなることはありません。   養育費の相場に関しては、たとえば、お子さん3人全員が14歳未満で、親権を持たない方の年収が500万円、で親権を持った方が専業主婦で無職の場合ですと、養育費の相場は10~12万円程度になります。養育費の算定に当たっては、離婚時に無職でも、お子さんの年齢によってはパート勤務程度の年収を得られるだろうということで、120万円程度の稼働能力があることを前提に、養育費を算定することがあり、その場合の養育費の月額はもう少し下がることになります。 また、15歳以上のお子さんは、教育費がさらにかかるので、養育費の相場が上昇します。   なお、親権を持たない方の年収が低かったり、自営業で赤字申告していたり、無職の場合でも親である限りは支払い義務は発生しますので、粘り強い交渉が必要になります。   ・共同養育 共同養育とは、離婚後も父親と母親が相互に協力して子育てを行うことを指します。   当然ながら、親としての責任は離婚後も継続するので、夫婦の関係が終わった後も元夫婦が共同して子育てをしていく体制を取れるならば、親権を持った方のみで子育ての責任を背負わずに済む可能性が出てきます。   ・母子手当制度 わが国においては、国またはお住いの市区町村等各自治体で、母子手当制度など、経済的に苦しいひとり親を支える様々な制度がありますので、これらを上手に活用することで、特に経済面での負担軽減が見込めます。 ただ、各自治体で様々なメニューや条件があるため、疑問点等が出ましたら、市区町村等の窓口に相談することが望ましいです。  
  • お子さんが複数いる場合の離婚で大切なお金のこと
お子さんが複数いる場合の離婚においては、特に離婚後の生活を成り立たせることが肝要になります。 よって、経済的な自立を確立するためにも、離婚時にしっかりとした交渉が不可欠です。 経済的な自立を目指すには、お金の確保が必要なので、離婚時には財産分与、不貞行為等が原因であれば慰謝料、養育費を確保した上で離婚後の新生活をスタートさせ、もし、現在専業主婦で無職であれば、離婚後の働き口を確保していくようにしましょう。 金額を決めるだけではなく、相手にきちんと支払ってもらえるような交渉も必要になってきます。   ・財産分与について お子さんが複数いる場合の離婚においては、財産分与の分け方が非常に重要になります。 財産分与とは、夫婦が婚姻期間中に協力して築いた財産を離婚時に分配する制度で、夫婦間で財産を2分の1ずつに分配するのが原則です。   財産分与においては、結婚していた期間に購入した不動産や自動車が、大きな財産となります。   親権者になった方が分与を希望する共有財産は、「家」であることも多いです。 なぜなら、複数のお子さんと一緒に住めるような広い家は、賃貸するにしても家賃が高いことが多く、その家賃の支払いが負担になって経済的な自立を阻害する可能性があるからです。 元夫の実家が近くて住みづらい等の理由がない限りは、今のお家を財産分与で受け取ることが望ましいですが、名義を変えるにしても、ローンの引受や代償金の支払いの問題で、実際問題としては複雑な問題があります。   場合によっては、住宅ローン支払いが難しいから家をもらうのはあきらめるとか、手に入れたら即売却することだけにとらわれずに、元配偶者にも住宅ローン支払いを分担してもらえないか等、いろいろな方法を考えてみましょう。  
  • 離婚後のトラブルにならないためにも、離婚協議書作成が不可欠!
離婚は、裁判や調停を起こさなくても、夫婦間の話し合いで全て合意し、解決に至ったら、離婚届を出すことで成立します。 しかし、話し合いの時にはお互いに納得し、全面的に離婚条件に合意できていたとしても、時が経つにつれ、元夫婦双方の経済状況や生活環境が変わることは必然です。 よって、親権を持たない方が、養育費等の負担が厳しくなり、支払いが滞る可能性は否定できません。 そこで、将来的なトラブルを回避するために、離婚協議書を作成し、養育費や共同養育などの話し合いで合意したすべての事項を離婚協議書に盛り込んでおきましょう。養育費等金銭の支払いの約束がある場合は、公正証書まで作成して、それから離婚届を提出するのがベストです。   もし、ご自身で離婚協議書を作成するときや、現在合意までこぎつけた条件が自分にとって不都合なものではないか、不安に感じたときは、離婚に強い弁護士に相談することをお勧めします。   ご相談時に伺ったことを踏まえて、様々な角度からアドバイスや今後の展開を説明していただけるかと思います。 さらに、離婚に強い弁護士に相談することで、ご自身の考えが整理され、方向性がハッキリすることも期待できます。  
  • まとめ
お子さんが複数いるご夫婦の離婚は、離婚後の経済面、生活面における子育て関係の負担や、お子さんの将来を豊かなものにするため非常に大きな責任を負うことになります。   その責任を、親権を持った方がひとりで抱え込むことなく子育てし、ご自身の離婚後の人生もより豊かなものにするためには、養育費や財産分与等様々な離婚条件を詳細に決めて、それらを離婚協議書にまとめることが非常に大切です。   そして、このブログを読んで、「武澤先生に相談したい!」と思ったら、ご遠慮なくご連絡ください。   私は、毎日、何らかの形で離婚に関する事柄を取り扱っております。   もし、離婚のことでお困りのことがありましたら、まずは下記よりお電話、メールを下さい。   心配事を少しでも軽くできるように、お話をお伺いします。   ※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。   ※この記事は、読んでいただいている皆様にとって分かりやすい言葉を使って、記載しております。   ※本記事を利用して、ご自身で対処する場合は、自己責任で行ってください。