現在別居中なのに、離婚の話し合いが全く前に進まない場合にすべきこと

コラム
こんにちは。大阪府豊中市の離婚が得意な弁護士の武澤です。   タイトルの件で解説します。   もう顔を見るだけでストレスが溜まる状況であったり、口を開いたら喧嘩が始まってしまうなど、夫婦関係がこじれてしまい、離婚を前提とした別居を選択するケースが増えています。   一方で、別居してしまうと、お互いに顔を合わせる機会が激減するため、ずるずると現状維持が続き離婚に関する話し合いが全く進まないことで、余計にストレスが溜まることがあります。   そこで、今回は、別居状態で離婚の話し合いが全く進まないケースにおいて、取るべき方策をお伝えします。  
  • 別居中なのに、全く離婚の話し合いが進まないケース
私が今まで担当したケースでは、主な原因は以下のようなものが挙げられます。   ・離婚自体を相手が拒否している。 ・離婚話を切り出しても、無視されたり取り合ってもらえない。 上記2つのケースについては、相手がそもそも離婚することを拒否していたり、別居はするけど離婚はしないという意思表示ともとれる行動であると推測されます。 そうなると、なかなか顔を合わせる機会が取れないこともあって、電話、LINE、メールなどで相手に問いかけるしかなく、相手が応対しないことで、話が進まないという状況に陥ります。   ・離婚話でなくても、口を開くと感情的になる 離婚を決めて、相手に伝えることで、当然ながら夫婦間に亀裂が入ることになります。これがきっかけとなって、夫婦の関係性が悪くなり、お互い嫌悪感を持つことで、話し合いをすると感情的になったり、時には罵声を浴びせあうこともあるでしょう。 こうなってしまうと、とてもじゃないですが、冷静に離婚のことを話しあえる状況ではなくなってしまいます。   ・離婚の条件について揉めている 離婚することで、単純に夫婦関係を終わらせることだけではなく、少なくともお金の話、不動産の話、子供の話など、さまざまな離婚の条件を詰めたうえで、夫婦関係を清算することになります。この条件を確定するための話し合いで、お互いの主張が真っ向からぶつかり、しかもお互い譲らないとなれば、当然に離婚の話し合いは進みません。  
  • 別居状態で離婚の話し合いが進まないときに取るべき方策
では、上記の状態に対して取るべき方策はあるでしょうか?その方策として、以下のようなものが考えられます。 ・相手から応答がないケース 別居中の相手に電話、メール、LINEをしても応答がない、既読がつかないなど、放置されていると思われる場合は、私を含めて、離婚が得意な弁護士に相談し、ご自身に代わって弁護士に交渉をしてもらう方法を検討してみましょう。まずは、相談だけでも良いヒントを得られることもあります。 要は、代理人弁護士を通して相手に「本当に離婚をしたいと思っている」ことを文書で伝えることで、相手方に対応を促し、事態を動かすという方法です。 すでに話し合いはしているものの、お互い譲らないなどで事態が硬直化している場合でも、弁護士が入ることで事態が動く可能性があるので、やってみる価値はあると思います。   ・相手方との話し合いで感情的になるケース 口を開くと、喧嘩が始まる状態であれば、離婚に関することを冷静に話し合うことは不可能な状態になっています。また、離婚は、夫婦関係を終わらせることがゴールではなく、お互いに新たな人生を歩むスタートでもあるので、後日に揉め事を残さないように離婚条件をきちんとまとめて、それを履行することも必要になります。 よって、このような場合ですと、弁護士に依頼して、ご自身の思っていることや養育費、慰謝料などの離婚条件を冷静に提示できるように、交渉を代理してもらうことを検討する必要があります。   ・離婚条件の話がまとまらないケース ひとまず、離婚することは合意したけど、養育費や慰謝料等の離婚条件で話がまとまらないときは、もはや協議離婚で成立させるのは難しいと考えざるを得ません。 その際は、離婚調停を申し立てて、裁判所で第三者を介して話し合うことになります。 調停は、家庭裁判所で調停委員が、夫婦の間に入って、お互いの主張を聞き、要約して伝える等をすることで、円滑な離婚へと進めていく手段です。 なお、離婚調停の代理人を弁護士に依頼することも、もちろん可能です。 調停期日に弁護士が同行し、ご自身と共に主張を行っていくことになります。そうすることで、法的に専門的な観点からの主張が可能になり、そうすることで、裁判所側からしても法的に適正な主張をしていると扱われ、より相手方に対して説得力を持つことになります。 しかし、調停は合意できなければ成立しませんので、お互い譲り合わずに話し合いがまとまらないということもあり得ます。 その際は、離婚訴訟となり、このブログに頻出する「5つの法定離婚事由」に当てはまるような主張と証拠提出を行い、最終的に離婚を成立させるように進めることを検討しなくてはなりません。  
  • えっ!?別居状態なのにこっちが不利になるの!?
相談者に対して、いろいろと現状を伺うと、「えっ!?別居しているんだから大丈夫なんじゃないの!?」「いやいや、もう相手に愛はないから、相手のことを考えなくてもOKでしょ?」という反応を頂くことがありますが、離婚が成立するまでは、夫婦関係が続いていますので、軽率な行動や判断は慎みましょう。思わぬ反撃を受けることになります。 よくあるケースとしては、下記のものがあります。   ・別居状態なので、生活費を支払わない 上述のとおり、夫婦関係は継続しているため、一方的に出て行って別居状態を作り、かつ生活費(法律用語で、婚姻費用といいます。)も支払わない場合は、「5つの法定離婚事由」のひとつである「悪意の遺棄」に該当する可能性があります。これに該当すると、離婚裁判で悪意の遺棄と認定される可能性が非常に高く、ご自身の立場が非常に弱くなります。 よって、別居の原因がDVやモラハラなどの肉体的、精神的苦痛を伴うものでない限りは、相手に別居する理由を伝えて、よく話し合いをすることが肝心です。   ・不貞行為をする 夫婦関係は冷めてしまって、お互いに愛情はないし、別居しているから、彼氏、彼女を作って、その方と早く結婚したいから、離婚を早く進めたいという相談もあります。 これについては、絶対に慎んでください。 「5つの法定離婚事由」のひとつである不貞行為に該当し、裁判離婚で認定される可能性が高くなります。 肉体関係はなく、単に食事だけだったとしても、二人きりで出かけた事実を把握されるだけでも、相手から精神的苦痛による慰謝料を請求される可能性があり、ご自身の立場が弱くなります。 離婚が成立するまでは異性との交際は控えておくのが安全です。   ・別居後に築いた財産は財産分与の対象外 離婚の条件に関する紛争のひとつに、財産分与があります。 これは、結婚期間中に夫婦で協力して築いた財産については、話し合いで分けて清算しましょうということになっています。 別居後に築いた財産については、夫婦独力で築いたものになるため、財産分与の対象外となります。   以上から、相手方の肉体的・精神的DVによって肉体的、精神的苦痛を受けていたり、場合によっては生命の危機も感じる場合は、当然ながら逃げるべきですが、それ以外の状態であれば、まずは離婚の意思を伝えて話し合いをしてから別居することと、離婚が成立するまでは、異性との交際は慎むということが大事なことになります。  
  • まとめ
残念ながら、離婚前に別居状態になると、没交渉になりがちで、離婚の話し合いが進まないことはよくあります。 そこで、私を含めた、離婚が得意な弁護士に相談や依頼をして、膠着状態を動かしたり、円滑に離婚を進めていくことを検討するのが良いでしょう。 そして、離婚をすることは、単に夫婦関係を終わらせることだけでなく、ご夫婦の新たな人生のスタートでもあります。 そのためには、夫婦で築いた財産を清算する等、離婚後に安定した生活を送るための基盤形成のため、しっかりと話し合い離婚条件を決めていく必要があります。 ですので、このブログを読んで、「あすか先生に相談したい!」と思ったら、一人で抱え込まずに遠慮なくご連絡ください。離婚話を円滑に進めるために、的確かつ適切なアドバイスを致します。 離婚に向けて、一緒に進んでいきましょう。   私は、毎日、何らかの形で離婚に関する事柄を取り扱っております。   もし、離婚のことでお困りのことがありましたら、まずは下記よりお電話、メールを下さい。   心配事を少しでも軽くできるように、お話をお伺いします。   ※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。   ※この記事は、読んでいただいている皆様にとって分かりやすい言葉を使って、記載しております。   ※本記事を利用して、ご自身で対処する場合は、自己責任で行ってください。