離婚による子供への影響とその対策

コラム
こんにちは。大阪府豊中市の離婚が得意な弁護士の武澤です。   タイトルの件で解説します。   私は、お子さんがいるご夫婦の離婚相談を受けることが多々ありますが、相談者さんや依頼者さんは、「離婚したらうちの子に何らかの影響は出ないでしょうか?」とか、「私たちが離婚することで、子どもにストレスがかからないか心配です。」と子供への影響を心配される方がたくさんいらっしゃいます。 当然に、離婚ということからお子さんにとって何らかの影響が出る可能性はありますので、本ブログで、お子さんへの影響を最小限に抑える方法や考え方をお伝えしたく思います。  
  • 離婚による子どもへの影響はどんなものがある?
  離婚をすることで、お子さんにとっては、お父さんとお母さんが別れて暮らすことであり、「もしかしたら、もう会えないんじゃないか?」と不安に思うことは容易に想像できます。 では、実際には、どのような影響が出てくるのでしょうか。主なものは以下のとおりです。   ・子どもに悲しみ、寂しさ、不安などマイナスの感情を与える可能性がある ・経済状況が苦しくなる可能性がある ・別れた親との交流が無くなる可能性がある ・子どもが精神的に不安定になる可能性がある ・両親の葛藤の板挟みになって片親を激しく否定する可能性がある ・他の家庭などと比べて子供の自己肯定感が低くなる可能性がある   上記のことは、先ほどの「もう会えないんじゃないか?」にも通ずるところがありますが、やはり、離婚が成立するまでは一緒に暮らしていたお父さん、お母さんがもう一緒にいなくなることがわかると、相応の精神的ショックや悲しみの感情を持つことは間違いないです。   また、場合によっては、養育費を受け取る約束をしたとしても、支払いが予定通り実行されずに、生活が困窮したり、生活保護に頼らざるを得ない状況に陥ることで、進学ができるかという経済的な不安も抱えているかもしれません。 上記の原因で、不登校になり引きこもったり、家庭内が荒れたりと、精神面での不安定さが出てしまう可能性がありますので、お子さんが、離婚後も安定した生活を送れるように、離婚時にご夫婦双方で納得がいくまで話し合って離婚条件を設定する必要があります。  
  • 離婚という事実における子どもの捉え方
離婚という事実が発生した際に、お子さんがどのように捉えているかは、お子さんの成育時期により異なっています。   ・乳幼児期:監護親が離婚で精神不安定になると、子供に直接的に大きな影響がある。 友達は、お父さん、お母さんがいるのに、なんで僕(私)にはお父さん(お母さん)しかいないんだろうかという疑問を持ち、寂しくなったり悲しくなる。お父さんとお母さんが離婚したのは、自分が悪い子だからと自分を責める。   ・小学生期:見捨てられたという感情が最も強まる時期。「両親が離婚した」という事実を正しく理解できる反面、ご両親がいる家庭との違いをしっかりと認識し、友達の家庭と比べて落ち込み、喜怒哀楽の感情が人よりも激しくなったり、ストレスを感じることが多くなる。離婚という事実をある程度理解できるが、自分から親に質問したり、感情を言葉で表現することは難しい。同居親に捨てられたらどうしようという恐れが強く、非同居親を激しく攻撃したり否定したりすることがあるが、子供にとっては自傷行為のようなもの。良いか悪いかの二極で物事を考えがちで、どちらかの親の味方をすることになるが、その背後にある思いを察してあげる必要がある。   ・中学生期:ひとり親であることを強く意識し、親の離婚原因は自分(お子さんのこと)だと思い込んだりする。場合によっては、自分の家庭は普通ではないと満たされない思いを抱え欲求不満を爆発させたり、心の拠り所を他人に求めて、非行に走る可能性が高くなる。心理的自立がうまくいかない。受験等家庭問題以外でも不安定になりやすい時期。   ・高校生:親の離婚を自分のこととは切り離して冷静に受け止められるようになる。   子供は、どうしても自分中心の考え方になりがちで、寂しさや人とは違う家庭環境をマイナスに捉え、ストレスを感じて、感情が爆発したり、思春期が重なると、同じような境遇の人と交流する中で、夜遊び等の非行に走る可能性があります。また、どんなに幼い子であっても、両親の離婚による心理的な影響が大きいことは忘れてはならないことです。 子供が荒れた場合に自分で解決するのが無理な場合は、学校やご両親等、他の大人の方と協力して、お子さんに向き合っていくことが肝要と思います。子供が必要としているのは、どんな状況でも子供を信頼しどっしり構えてくれるような大人です。親を否定しても、根底にはお父さんもお母さんも好きだという気持ちがあることをまずは理解すべきです。 そして、高校生くらいになると、ある程度社会のルールや出来事をうまく理解して腑に落とすことができる状態になることが多いため、お子さんを子ども扱いせずに、ひとりの自立した人間として接し、なぜ離婚に至ったのかを説明することが大切です。高校生以下の子供に対しても、親の離婚について説明するのが良いと思います。その子の年齢に合わせた説明の仕方で説明し、離婚になってしまったのはその子のせいではないということを伝えてあげることが大事です。  
  • 離婚による子どもへの影響を最小限に抑える方法
離婚による子どもへの影響をできるだけ抑え込むには、下記の点を意識して行動していただくのが良いでしょう。   ・子供に離婚の理由をしっかりと詳細に話す ・財産分与や養育費の条件を整え、お子さんに経済的安定を与える ・別れる親と会えるためのルール作りをする ・別れる親の悪口を言わない ・夫婦の問題と親子間の問題は区別して考える   確かに、離婚するということ自体は、ご夫婦での話し合いですので、お子さんには直接関係ないことです。 しかし、今まで一緒に生活していたお父さん、お母さんのいずれか一方がいなくなることは、お子さんにとって非常にショッキングな出来事です。 また、離婚により、生活苦になってしまうと、お子さんの精神面で悪影響が出ることは必至です。 そこで、たとえお子さんが小さい場合でも、しっかりと離婚する理由を説明して、離婚後の生活設計を立てられるように金銭面での条件を整えてあげるのも、親としての務めだと考えます。 さらに、別れる方にとっても、離婚してもお子さんであることは変わりないですし、お子さんにとって父親(母親)に変わりありません。お子さんが会いたいと思った時には、会える体制を構築しておくことも必要です。 そして、お子さんが離婚について悩んでおり、両親に言いにくいこともあると思いますから、その際には、おじいちゃん、おばあちゃんやカウンセラー等専門職の方に気軽に相談できるように声掛けすることも肝要です。 大人が思う以上に、子供は両親の不仲を敏感に感じ取り、傷付いています。大人が子供の気持ちに寄り添って、子供のために協力し合えるような離婚をすることが大事です。  
  • まとめ
離婚という出来事が発生すると、お子さんの精神面や生活面で、何らかの影響が出ることは容易に想像できます。一方で、子供なりに両親が離婚できたことにホッとしたとか、嬉しかったとかという感情も芽生えることがあり、必ずしも今まで書いてきた、マイナス面ばかりではないこともあります。しかし、子供が将来的な不安を感じたり、生活状況が一変することで、感情のコントロールがうまくいかなかったりすることは十分にあり得る話です。   そこで、お子さんへの影響を最小限に抑えることを第一に考え、そのためには、お子さんと普段からしっかりとお話をしたり、悩みを聞いてあげるなどのコミュニケーションをとることや、お子さんが金銭的に困窮しないことや、別れる方の親とのスムーズな面会交流ができるように離婚条件を整えることが非常に大切です。   お子さんがいらっしゃるご夫婦の離婚の場合は、まずお子さんのことを考えて、ご両親のいるお子さんと同じくらいのレベルでの人生設計を、お子さんができるように協力してあげてください。   なお、私は、毎日、何らかの形で離婚に関する事柄を取り扱っております。   もし、離婚のことでお困りのことがありましたら、まずは下記よりお電話、メールを下さい。   心配事を少しでも軽くできるように、お話をお伺いします。   ※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。   ※この記事は、読んでいただいている皆様にとって分かりやすい言葉を使って、記載しております。   ※本記事を利用して、ご自身で対処する場合は、自己責任で行ってください。