うつが原因での離婚における慰謝料はどれくらい?

コラム
  こんにちは。大阪府豊中市の離婚が得意な弁護士の武澤です。   タイトルの件で解説します。   うつが原因での離婚における慰謝料、親権、養育費は、どのようなことになるのかは、当事者になったときの大きな関心事になると思います。 離婚という行為自体が、人生の大きな出来事ですので、行動を起こすだけで非常に大きなエネルギーを必要とし、最悪の場合、これが原因で、肉体的・精神的ともに崩壊することがあります。 また、夫婦間だけであればまだしも、お子さんがいる家庭ですと、お子さんの今後の人生を考えた条件の交渉等のやり取りをする必要があるため、なおさら負担は大きいです。 それを踏まえて、お伝えします。   1.そもそも、うつが理由で慰謝料とかは請求できるの?   そもそも論にはなりますが、うつになったパートナー自体が、なりたくてうつになったわけではないですので、これが理由で慰謝料請求は難しいと考えます。 そして、うつになった時点で、満足に働けない、日常生活を送ることもままならない状態でしょうから、現実的に慰謝料請求は難しいです。   一方で、下記のようなケースで、資産がある場合だと、慰謝料請求が出来る場合もあると思われます。   ・うつだからと言って、パートナーのみが実家等に逃げ込んでしまい、夫婦間の義務である相互扶助(夫婦お互いを支えあって生活を送ること)義務を果たせない状態になった   ・パートナーの暴言暴力等がうつ発症前もしくは発症直後から激しかった   しかし、うつ状態ですと、パートナーとのやり取りはおそらく困難を極め、泥沼化することは必至と思われます。よって、証拠集めなど入念な準備が必要となりますし、円滑なやり取りは難しいと思います。 もし、ご自身では手に余るときは、離婚が得意な弁護士にまずは相談してみましょう。   2.うつのパートナーが親権を取らないようにするには? パートナーのうつがお子さんの人生や考え方に多大な影響を与えることは、様々な情報からご存知のことだと思います。医学会や研究者から様々な調査結果も出ています。   「うつのパートナーとはもうやっていけない!」と心の底からそのような結論を出し、実際に行動を起こしたのですから、お子さんはさらに大きな影響や精神的負担を強いられていると思って良いでしょう。 まずは、お子さんが心身ともに安心して健康に成長できる環境づくりに注力しましょう。   まず、調停、裁判と進んだ場合、裁判所はお子さんの人生設計を最優先するため、子どもの成長に最適な環境を用意している親が親権者に指定されやすいです。日本は、親権者を母親にする傾向が強いですが、この理由としては、母親のほうが子供の幼少期から子供と接する時間が長いというのが一つ挙げられます。 一方、最近は、女性の社会進出による共働き世帯の増加や、いわゆる「毒親」と呼ばれる母親も少なからず存在するため、父親が親権を取得することもあります。 ですので、「親権は私が持ったほうが、子供の人生がより安定し豊かになる!」ということを、親が客観的な証拠を提示し、強く主張していく必要があります。   3.養育費はどれくらいもらえるの? 法律上、養育費を支払うことは、親の義務です。なぜなら、親は、子供がご自身と少なくとも同レベルの日常生活を送れるように育てる義務があるからです。たとえ、夫婦間は離婚したとしても、親子間は切れることはありません。 養育費とは、お子さんの成長とお子さんが豊かな人生を歩めるように、親権者(監護親)に対して、子供を監護していないパートナーが支払うお金です。 なお、養育費は夫婦のお互いの経済状況や子どもの数などによって計算方法が違いますので、現在、うつで働くことが困難だと、養育費を請求できたとしても、実際に受け取るのは難しい場合もあります。養育費は金額を決めるだけではなく、その後どうしたらきちんと支払ってもらえるかという視点からの取り決めも大事です。   4.まとめ うつになった時に、病院通いやカウンセリングを受けることはされていると思いますが、重度となると、意思の疎通が難しく交渉すらままならないこともあり得ます。 その際には、「成年後見制度」を利用することも検討することになります。 これは、重度のうつ病や認知症等の精神障害などにより、判断能力が不十分と認定された方が、重要な契約等で不利益を受けないように、本人の意思表示を明確に伝える方を付ける制度、簡単に言うと「子供における親代わり」の方をつけてもらう制度です。離婚調停を視野に入れている場合は、弁護士が選任されることが多いです。 なお、この制度を利用するためには、家庭裁判所で申し立てが必要となりますが、うつ病患者本人が手続きを行うことが難しい場合は、パートナーである配偶者が代わりに手続きを行えます。 少し、離婚のことからは外れましたが、このような状態でも、離婚手続きは進められる可能性があることをお伝えすべく、ブログ記事にしました。   離婚をお考えの方は、一度私を含めた、離婚専門弁護士に相談いただくことをお薦めします。   私は、毎日、何らかの形で離婚に関する事柄を取り扱っております。   もし、離婚のことでお困りのことがありましたら、まずは下記よりお電話、メールを下さい。   心配事を少しでも軽くできるように、お話をお伺いします。   ※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。   ※この記事は、読んでいただいている皆様にとって分かりやすい言葉を使って、記載しております。   ※本記事を利用して、ご自身で対処する場合は、自己責任で行ってください。